3.ゴを着たなら踊りましょ
農業省大臣への表敬と調査方針の説明を行った今日、大臣主催の晩餐会に招かれた。 調査団員6名のうち、私を含む3名が民族衣装の「ゴ」を着て出席した。「こういう調査団だったんですか」、と半ばあきれ顔の日本人もいる中で、「いやぁ、そうだったんですよ」と開き直るしかない私だったが、ブータン側の「受け」はきわめて良かったように思う。たしかにこれまで私が参画した調査団はいずれも格調高く、団長は襟を正し威厳を保ち、国の代表としての自覚をもって行動されていた。それに対して私たちはといえば、団長自らいきなり民族衣装で大臣晩餐会に出席し、飲んで踊って冗談話に明け暮れた。たしかにそこには威厳も品格も欠けていたかもしれないが、一方で我々は、仕事の内容では誰にも負けない自信もある。ブータンの期待に応える意欲と自信があるならば、あとはいかにこの国の人々と親交を深めるか、が我々の目指すべきことではなかろうか・・。「ひと味違う調査団」でいい。北海道らしく、ドーコンらしく、稚拙だがしっかりと、ブータンの人々に評価される成果を残したい。 ブータンの民謡はきわめて日本のそれに似ており、まるで「追分」を聞いているようだった。そして、踊りは輪になってみんなで踊る。決して激しい踊りではないが、空気の薄いティンプーではかなり息が上がった。大臣自らが踊り、老いも若きもみんなで踊り、ひとときを楽しむ。ドミニカで、みんな激しくメレンゲやサルサを踊るのとはまた違って、実に趣があり、楽しいのだ。 今日、ますますブータンが好きになった。 後日聞いた話では、4人の歌手兼踊り手(女性)と楽団は「Royal Art Performing Academy」という、国家公務員だそうである。これまでに大臣がこうしたチームを呼ぶことはなかったそうで、要は「大歓迎」されたということらしい。我々の会社はブータンで13年前から業務を行っている。まさに旧交を深めた、ということでもある。 2002年4月26日 |