7.RRAにはARA
今日はモンガル県で一回目のRRA調査(Rapid Rural Appraisal:簡易農村調査法)を行った。RRA調査というのは、調査対象地域のある世帯を実際に訪問し、予め用意された質問チェックリストを基本として、各分野の調査者が質問をし、特定世帯の視点からその農村社会の様子を把握するという調査である。通常ならば、数ヶ月も係る社会調査を、所定の調査ツール、手法を用いて数日間で行う。各調査者が対象村に対する認識を共有する、というのもひとつの目的になっている。 各県第一回目の調査は「アクセスの比較的いい村」ということで、「歩いて30分」という農村を訪問することとなった。ところが実際に歩き始めると、歩けど歩けど村には着かず、結局山坂越えて約一時間で目的の村にたどり着いた。途中、かっこうが啼き、シャクナゲや野生の山椒、ワラビの群生地を抜けて、それはまるでピクニックのようなものだったが、標高差は300m程度あって、結構な山道だった。対象の農家に着くと、まずはお茶、お菓子・・。それからさらに50mくらい登って村長の家に着いた。9時から始めるはずのインタビューが結局始まったのは11時・・。全員が車座になって、さぁ始めよう、と思ったら、出されたのが「ARA」(アラ:ブータンの地酒。トウモロコシ、大麦、ほか雑穀で作る蒸留酒)。そう、ブータンでは、農家を訪問すると地酒を振る舞って客としてもてなしてくれるのである。 「RRAの前にARA」、これはブータンでは常識なのだ。 2002年5月8日 | |
「徒歩30分」と言われて歩き始めたはいいが、結構険しい山道を、約1時間歩くはめとなった。 | しかし、道ばたにはシャクナゲの花やスモモなども見られて歩く苦しさを忘れさせてくれた。 |
RRA調査の前にはARA(アラ)が振る舞われた。午前中は「冷や」、午後は卵酒が熱燗で・・。いい加減酔っぱらってしまった。 | 農家が用意してくれた昼食。ワラビと卵とジャガイモと「エゼ」という唐辛子とチーズのピクルス。ご飯以外は自家製の材料。えらく美味しかった。ARAのせいかな。 |
調査に協力してくれた、Tenzin Dorjiさん一家。ちなみにTenzinさん(右から2番目)は小松方正似でした。 | 帰りは約45分でモンガルに到着。ふと気が付くと、ワラビを両手いっぱいに持っている調査団員2名・・。軍手はそのためだったのか・・。 |
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