ただいま出張中 


9.美女と野獣、老若男女の集う街、ディリ

7月から10月までの業務(インドネシア、SSIMP-III)には会社の若者と2人で従事した。宿舎は、南スラウェシ州マカッサル市のホテルで、一泊11万ルピア(13米ドル程度)で泊まっていた。部屋にはNHKの見られるテレビ、冷蔵庫、風呂はバスタブがありお湯が出る。部屋から国際電話を直通でかけられる。おまけに朝食と洗濯代込みである。今から考えると「とてつもなく安い」。

夜は毎日2人で食べた。週末のカラオケも2人で行った。マカッサルには日本食レストランが一軒あって、日本人のたまり場のようにもなっていたが、私はあまり日本同士で「たまる」のは好きではなく、同席することは滅多になかった。

一方、ここ東チモールでは・・・。

本当にいい「仲間」に恵まれ毎晩楽しく過ごさせてもらっている。ときどきオーストラリア人も混ざるが、ほとんどが日本人。私と同僚のIさんはとにかくいつも一緒である。最初はこの2名に当地でレンタカー会社をやっているKさんと、貿易関係の仕事をされているKさんと、建設会社のNさん(出張ベースで頻繁に東チモールにみえる)の5人で始まった。

貿易会社のKさんはアロハシャツと短パンがよく似合う、「男が惚れる」ような細身の50台。ある日突然「坊主頭」になって、まさしく「その筋」のお方に見える。建設会社のNさんは小柄だが髭をたくわえ、「現場監督的」男らしさに溢れている。レンタカー会社のKさんは、「GIカットみたいにしよう」と床屋に行ったが、「コミュニケーション不足」のため、寝ている間に「大五郎」のような髪型にされ、やむなく「五分刈り」となった。もとラガーマンだけあって体格がよく、(本人としては「気にくわない」)一重瞼と相まってものすごい迫力がある。この3名は「東チモールの悪人ヅラ3人」と名高い(?)が、先日我々が新規開店の中華料理店で「タイすき(SteamBoat)」を食べているところを写真に撮られ、翌日の当地新聞に両K氏の「ガンとばし」顔の写真が「デカデカ」と載った。その記事はレストランが「宣伝用に金を払って取材を頼んだ」らしい。いまでも記事のコピーがJICA事務所の一角に「飾って」ある。 「客足が遠のくのではないか・・・」と「余計なお世話」な不安はあったものの、現在も繁盛していて、「悪人ヅラ」の仲間としては「よかったよかった」と安堵している。

一方、これに対し、Iさんは本当に物腰軟らかく、ほんわかとしていて、我々仲間うちでは「神父さま」と呼ばれている。そして、唯一、フツーの(に見える)日本人が私である。(書いた者勝ち)

昨日の夕食の風景を紹介しよう。

私と同僚のIさん、レンタカー会社Kさんと同僚のオーストラリア人、Kさんのレンタカー会社の社長のお姉さんで近く当地で日本食レストランを開業するMさん(60才くらいの女性)、この5名でディリ市の西にある「焼き魚屋」で夕食中、貿易会社のKさんから電話が入った。

「今日、車あらへんから迎えにきてぇーな」。レンタカーKさん迎えに行く。Kさん来る。おもむろに貿易会社Kさんが私に、「某援助機関のIさん(日本人女性)に電話して。あんたが電話すればきっと来よるで・・」、と私に言うので、「年上のいうことには逆らえない」気の弱い私が電話すると、いきなり電話をとって、「いやいや、Iさんすんません、このおっさんが会いたい会いたいゆうてうるさいもんやさかい、来て!」、などと言う。他の場所で職場の方と会食中だった彼女は「今日は私個人的には(我々の滞在している)タイのボートの船上ディスコがいいんですけど・・」と言われ、貿易Kさんが、「じゃ、あとでご一緒に・・」などと言って電話を切った。

そのすぐあと、私の電話に、かねてより夕食をお誘いしていたNGOのIさん(女性)から電話があり、「あの〜、私、今日は疲れているんですけど・・、それでも良ければ・・・」とのこと。「いや、お疲れですか、私たちは一向にかまいませんよ・・」、と訳の分からない強引さでお誘いし、ディリ市の「西のはずれ」の彼女の宿舎まで車で迎えに行くことに・・。小1時間で戻ってくると、もうほとんど料理がない。

ワインを5〜6本開けた後、貿易Kさんの「ほな、船行こか」、の一言でタイの船へ。ところが着いてみると、毎週金曜日開催の船上ディスコは「土曜に変更」となり、キャンセル。「足のない」某援助機関のIさんと同僚を、(なぜか私も一緒に)それぞれのホテルまでお送りし、帰ってくると、今度はバーで飲んでいたNGOのIさんが、「わたしもそろそろ帰らないと・・」とおっしゃるので、今度は「西はずれ」の彼女の宿舎までお送りした。小一時間で戻ってくると、なんとみなさん帰る途中で桟橋の上。結局私は「飲まずじまい」。

7時過ぎから12時過ぎまでの大半を「車の中で過ごした」ような気がした私は、酒に酔ったんだか、車に酔ったんだかわからないまま、空腹を抱えて眠りこけた。

 

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