13.噛みたばこに御用心
今週は現場で公聴会を行っている。要は、我々が作った開発計画案について受益者の意見を聞き、計画を修正しようという試みである。公聴会はクメール語で行われ、日本人には理解できないためカウンターパートが通訳してくれる。 公聴会の最中、会場内の写真を撮っていたら、うしろから「ツンツン」とつつかれた。振り返ると、そこには「直立不動のおばあちゃま」がいた(写真)。「私の写真を撮ってね・・・」ということである。「はいはい、わかりましたよ・・・」と写真を撮って、席に戻った。(写真は翌日差し上げた) そして、公聴会も終わりに近づいた頃、私の席の前(下図参照)に座っていた彼のおばあちゃまが、突然私の目の前の土間に「「ぺぇ〜っ」と、真っ赤な血を吐いたのである・・・。 驚いた・・。「このばあさんも肺結核なのかぁ?」(「8.三匹の子豚大作戦」参照)と一瞬たじろいだが、「固まりきった私」に向かっておばあちゃまは「ニヤぁ」と笑い、その歯は「真っ赤っか」だったのである。 ようするに、おばあちゃまは「噛みたばこ」を噛んでいたのである。大リーガーがよくバッターボックスで「ぺぇ〜っ」とやるやつ・・・。聞くところによると、カンボディアでは「噛みたばこ」は女性のみの嗜好品らしい。男性は一切口にしないそうである。たしかに、気をつけて見ていると、結構いるいる・・。あちらこちらで「ぺっペ、ぺっぺ」と女性陣が床に「真っ赤な唾」を吐きつけている。(きったねぇなぁ・・・)
この噛みたばこ、ネパールでもインドネシアでもインドでも、多くの国で普及している。もちろん、女性だけ、というわけではない。インドネシアのロンボク島からスンバワ島に渡るフェリーの甲板では、超快晴なのにポツリポツリと「雨」が当たり、「おかしいなぁ」と見渡すと、風上で「ぺぇ〜っ」と海に向かって噛みたばこを吐き出しているオヤジがいた。真っ白な私のポロ・シャツは赤い点々で染まっていて、そのことに猛烈に腹を立てたのは若気のいたりである。 というわけで、「噛みたばこの吐き捨て」にはくれぐれも注意しましょう・・・。 2001年6月15日 |