ただいま出張中 

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Since April 17th, 2000 / Last Update March 14th, 2003


1.ただの通りすがりの者ですが・・・

 

この仕事を始めて約20年。とうとう私も「アフリカデビュー」です。

数年前にモロッコに出張したことはありますが、「モロッコはアフリカではない」そうで・・。

(たしかにパリから2時間くらいで着いちゃったもんね)

 

今回は「正真正銘のアフリカ」、ニジェールへの22日間の出張でございます。

「人間貧困指数(HDI)」でいうと世界で1、2を争う(?)貧困国ニジェール。砂漠化と人口圧に苦しみ、5才までに4人のうち1人が死亡する国です。ひどいよな。

 

そんなニジェールで表流水の有効利用を念頭においた村落開発プロジェクトを形成するため、今回はコンサルタント3名、通訳2名、官団員5名、計10名の大調査団の派遣と相成った次第。8月29日より先発隊としてコンサルタントおよび通訳の5名が本邦を発し、30日に当地に入りました。

 

ニジェールという国は西アフリカ、サハラ砂漠の南西に位置しています。国土は日本の約4倍ですが、その大部分がサハラ砂漠。北はアルジェリア、リビア、東はチャド、西はマリ、ブルキナファソ、南はナイジェリア、ベナンと接しています。人口は1,000万人ですが近年爆発的に人口が増加し、極めて小さな土地ポテンシャルと少雨のため、食糧確保がとっても難しい国です。ちなみに一家族あたり10人という大家族。まさに「貧乏人の子沢山」状態なのです。もっとも、75%を占めるイスラム教の「しきたり」に則って、ちょっとした地位の男は妻が2人いて(4人まで可)、家族も多いのです。

 

主食はミレット。聞き慣れない穀物ですが和名はトウジンビエ。わかりやすく言うと「トリのエサ」でございます。ジュウシマツが器用に皮を剥き剥き食べるあのエサ、あれを粉にし団子にして主食としているのです。あの皮、剥くのがとっても大変で、ニジェールの女性は毎日平均数時間もあの殻剥き(脱穀)に時間を取られ、水くみとともに女性の労働過重の原因となっているのです。

さてさて、前置きはともかく、写真を通じてニジェールの様子をお知らせしましょう。

 

これがミレットの実です。草丈2.5メートルくらいの先っぽに、長さ40〜50センチのこんな穂があります。でも、実(み)は直径1mmくらい。このひとつひとつの皮を剥くのは大変ですよね〜。

 

これはパリのルーブル美術館前のチュイルリー公園です。過酷なアフリカに行くひとつの楽しみでもある、「ヨーロッパトランジット」。今回はニジェールの宗主国フランス経由ですから、行き帰りにパリをちょっと・・。時差をものともせず、「寝る間も惜しんでパリ観光をしなければ・・」。ところで真ん中に立っている「ツタンカーメン調」の像は実は中に人が入っています。ただじっと立っている「大道芸」でございます。足下にはしっかりお金を入れるプラスティックカップが置かれています。ただ、この人、自分ではこの衣装(?)を脱ぐことができないようで・・。このあとすぐ、「ボス」らしき人が来てこの日の営業は終了。中身はなんと「アラブ系」でした・・。ま、いいのかな・・。

 

ニジェールの首都ニアメイでは「グランドホテル」に滞在。シャワーしかない「しょぼい」ホテルなのにしっかり1万円なりの宿泊費を取ります。とにかくアフリカは物価が高い。これは植民地で自国と同じレベルの生活をしようとした宗主国の支配者のせいでしょうね。「外国人は高い金を払って当然」ということでしょうか・・。ものの価値(価格)が使う人のステータスで決まるという不条理さ・・。たぶんフランス人は「植民地の人間に同じ生活をされてたまるか」と思っていたんでしょうね。アジアのように「その国の人の手の届くサービス」を定着させないとね・・。でないとこの国の人、いつまでたっても植民地的思考で国際競争に勝ち抜けないと思うんだけど・・。ここのホテル代、搾取してるのは誰なんだ?

 

ニジェールの食生活はというと・・。

いまのところレストランでしか食事をしていないのですが、これがめっぽう旨い。高いのを除けば食生活に不満はないですね。特にビールがおいしいです。フラグ(旗:写真左奥)とコンジャンクチュール(写真中央)がありますが、フラグは実においしいです。コンジャンクチュールはラベルにキリンが向かい合った絵が描かれているので「キリンビール」と呼ばれていますが、量が多いものの味はイマイチかなぁ・・。でも、泡の立たないインドの「ションベンビール」(失礼)よりははるかにおいしいですな。

こちらに来てから昼飯は「得意の麺類」系で攻めてます。「シェ・チン(陳さんの家)」という中華料理屋で、私は「牛肉麺」というラーメンを好んで食べてます。手打ち麺でなかなかおいしいですよ。

 

昨日初めて現場に行きました。写真はティラベリ県アボカ村の子供達です。 ここの現地語(何族だったかな?)では、「こんにちわ」は「ホホ」です。
写真を撮ってもホホ、笑ってもホホ・・・。微笑みかけるとみんな微笑み返しますね〜ここの子は。
で、猫じゃらしみたいな草(服についてチクチク痛い)をふざけて子供に投げつけて、「今度は僕にくっつけてごらん」って投げる仕草をしても、首を横に振って僕に手渡そうとする。
礼儀正しいっていうより純情なんだなぁ・・。
少年が手に持っている棒と皿は、「コロコロ」転がして遊ぶ全世界共通の「遊具」です。農業開発でもこんな「世界共通」の「使われるツール」があればいいんだけどなぁ・・。

 

わずか3週間の出張のために10年間有効の黄熱病のワクチンを注射してきた。こちらに長期滞在している青年海外協力隊の若者と話すとき、「いつまでいらっしゃるんですか?」、と訊かれて、「3週間です」というと、一様に「無言」である。

そう、僕らは「観光客に毛の生えた程度」の「ただの通りすがりの者」なのかもしれない。どんなにまずい食事をしても、不便なホテルにいても、アボカ村の子供達には「天国」みたいなものだし、それもわずか3週間でしかない・・。

アボカ村の少年達にとってはどんなに不便なところでも、それが彼らに与えられた環境だし、大切な故郷であることに違いはない。たまたまやってきた東洋人がどこの国の人でその国がどこにあるか、みんな知らない。ただ、微笑みかければ微笑み返すし、大人に対する畏敬の念というかそんな躾はきっちりされているんだろうな。

「世界一の貧困国ニジェール」。だからこそ何かしなきゃいけないし、また、そこに学ぶこともたくさんありそうだ。常に「援助」って双方向(コミュニケーション)なんだよな。一方的に与えるんじゃなくて、相手からも受け取る。貧しくても、人が生きていることの重みはやはり命の重みと一緒だな。ニジェールの子供達からそんなことを教えられた。だからやっぱり人の命って大切だと思う。

3週間、「ただの通りすがりの者」ですが、よろしくお願いします。

ホホ。

2004年9月5日