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11.バロチスタンへの郷愁

午前10時過ぎ、チェックアウトぎりぎりに「食器」が届きました。
ティーポットとミルクポット、コーヒーカップとソーサー3セット、大皿1枚。
合わせて2500Rs(5000円)でした。
ま、こんなもんかな。
欲しかったんだからいいや・・。

ホテルを出て空港へ。
今日はとても良い天気でした。
飛行機に乗り込むとき、ふと振り返ると、ターミナルビルの脇に無線機を持った警護のリーダーが立っていました。
昨日バザールでバイクで我々についてきた彼です。
どうやら彼は「インテリジェンス」(諜報部)の人のようです。

空港への道すがら、見送ってくれた総領事がポツリといいました。

「今回、政府は警護にずいぶんお金を使いましたねぇ・・」、と。

彼によると、いつも私たちについてきた7〜8人の武装警官のjほかに、少なくとも5〜6名の私服が我々の行く先々を警護していたというのです。こうした警護費用は、プロジェクトの実施主体であるバロチスタン州政府と連邦政府が負担するらしいのですが、大部分、特に「invisible」(目に見えない私服や諜報部員の活動)についてはすべて連邦政府が負担するようです。おそらく数千ドルの経費を支出したのでしょう・・。たしかに、いま私たちに何かの被害が出れば、今回のプロジェクトだけではなく、今後バロチスタンで行われるであろうすべての援助がストップする可能性すらありますから・・。

パキスタンでは今年大統領選挙があります。
アメリカよりの施策を打つムシャラフ政権は、特にバロチスタンの西部アフガニスタンとの国境付近のトライバル・エリアへの攻勢を強め、反政府勢力の反感を買っています。
私たちの訪問前後に発生したバロチスタン州地方裁判所の自爆テロ、クエッタ変電所へのロケット砲撃、イスラマバード空港での自爆テロなど、様々な反政府行動が行われています。
今回調印したプロジェクトは早ければ今年の9月に始まる予定ですが、果たしてどうなるのか・・。

ただ、
飛行機がイスラマバードに着いて市内に移動するときに感じた「バロチスタンへの郷愁」みたいなものは何だったのでしょうか・・・。短い間でしたがともに議論し、食事をし、現場を訪問したバロチスタンの政府関係者や、市場、バザールでのクエッタ市民・・。

「誇り高きバロチスタン人」、交渉ではなかなかタフではあるものの、本当に純粋で温かい人たちだと思います。

「できることなら自分がここに再びきて、このプロジェクトをやりたい」、と思いました。
「久々に燃えたコンサルタントの血」みたいなものでしょうか・・・。

とは言いながら、私は来月の今頃にはカンボジアです。
バロチスタンへの想いは、報告書に思いっきり詰め込んで、今後乗り込むコンサルタントに託したいと思います。

2007年3月1日