ただいま出張中 

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Since April 17th, 2000 / Last Update August 25th, 2005


3.ふと感じる「幸せ」

 

マーシャルから帰って最初の週末。午前中は部屋の掃除、たまった洗濯物を片づけて、午後から外出した。ボスニア、マケドニア出張の際に壊れたバッグの修理を依頼しに丸の内へ。今日はこの冬一番の冷え込みということもあって相当寒かった。

 

名前はなんていうのか知らないけれど、丸の内の中通りは石畳でいろいろなブランド店が出ていてなかなかオシャレ。ティファニーとかもあって、ちょっぴりヨーロッパ調。でも、根本的に違うんだけどね。日本だってアメリカに比べれば長い歴史があるのに、どうしてヨーロッパのような重厚さがないんだろう・・。

 

バッグの修理は3週間かかるとのことだった。

丸の内からぶらぶらと歩いて有楽町。駅前の小さな宝くじスタンドで年末ジャンボを買った。連番とバラ10枚ずつ。当たるはずはないけれど、「5億円当たったらどうしよう・・・」、などと想いを巡らすのが楽しい宝くじ。少し歩くと長蛇の列。なんと、有名な有楽町駅前宝くじ売り場はここだったのだ。毎年3億円当選者が出るという・・。ま、いいや。当たるときは当たるんだから・・。

 

有楽町から歩いて東京駅八重洲口方面へ。

少しおなかが空いてきた。「得意の小諸そば」もあったけど、せっかくだから深川あたりの手打ちそばが食べたいと、東西線に沿って歩き始めた。

途中、永代橋を通ると、隅田川の夕景がとてもきれいだった。冷たい風が川面を吹き抜け、水上バスが通る。しばし橋の上に立ち止まり陽が沈むのを見ていた。

 

 

永代橋を渡るとすぐ門前仲町商店街のアーケードが見える。

「さぁて、そばでも食べるか・・・」

深川不動の参道脇に、「純手打ちうどん、そば」、の看板を見つけた。

「深川しまだ」

「よし、ここに入ろう・・」

4時半くらいだったと思うが、店内は結構にぎわっていた。年輩のご夫婦や地元の人たちだったと思うが、日本酒を飲みながら世間話をしている。

店のメニューは豊富で、いわゆる「居酒屋メニュー」もたくさんある。

 

そうだ、思い出した。

20年ほど前、大学の友人の結婚式で北海道の深川に出かけた。旭川に近い町だ。宴会は1時から始まって3時過ぎには終わった。久々に会った友人達と、

「どっかで飲もうか」、という話になったとき、

「北海道の田舎町で昼間っから酒を飲めるところなんかあるの?」、と誰かが言った。

すると、先輩が、

「そば屋に行けば酒が飲める」、と言い、皆でそば屋を探したことがあった。

 

「しまだ」は、実に雰囲気のあるそば屋だった。

私は酒は頼まず、とろろそばを注文した。

とろろそばは、よく鎌倉山のらい亭で食べた。日本酒をのみ、庭園をみながらとろろそばを食べたとき、「俺は幸せだ」、と思った。そのとき以来、とろろそばが好物になった。

 

「しまだ」のとろろそばもうまかった。手打ちそばはコシがあって実にうまい。

そして、やはり、このとろろそばを食べたとき、「幸せだ」、と感じた。

 

この1年を振り返れば、いろいろなことがあった。

会社を辞めて再就職した。単身赴任の東京暮らし。出張は、バングラ、ボスニアヘルツェ・ゴビナ、マケドニア、マーシャルと4カ国に行った。正直言って仕事に不安はあったが、自分なりの成果は上げたと自負している。経済的には楽ではない。日々の生活には常にプレッシャーがある。

 

そばをふたくちほど食べたときに、ふと思った。

「いろいろなことがことがあっても、自分で働いた金で、ここでこうしてそばを食べられる自分は幸せだ」、と・・・。「やっと今の環境に慣れたのだ」、とも思えた。

 

 

「しまだ」を出て、商店街を歩くうち、なにか「甘いもの 」を食べたくなった。

「大福か?」、と思いながら歩いていると、「あげまん」、の看板が目に入った。

店は、深川不動尊仲見世の「宮月堂」。大福の周りにかき餅の砕いたものを巻いてあげているものが、「あげまん」。

1ヶ200円也のあげまんを3ヶ買った。

商店街を歩きながら、3ヶともぺろりと食べてしまった。うま〜〜い!

いやぁ、満足満足・・。

 

商店街を抜けて木場まで歩いた。冷え込みはいっそう厳しく、身体は冷え切っていた。

東西線に乗り、妙典で降りて酒屋とスーパーに立ち寄った。

酒屋では真露とダルマを買った。スーパーでは「チゲ鍋」の材料を買った。

冷え切った身体を暖めるには「酒」と「鍋」、これで決まり!

 

家に着いたのは6時半ころ。

NHKのドラマを見終わった9時ころから用意をして、テレビを見ながら、酒を飲みながら鍋をつついた。

 

うまかった、うしまけた。

2005年12月18日

永代橋から見る隅田川とマンション群。空気は乾き澄んでいた。水上バスと共に寒風が吹き抜けた。

一人暮らしの友、土鍋とミニコンロ。鍋は実に旨かった。準備も片付けも楽チンで、冬は鍋が最高。