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8.「三匹の子ぶた大作戦」〜後編

 

未亡人世帯への65ドルの使い道は次の6つが候補としてあげられた。

 

@「健康を取り戻すことが先決」との観点から、医療費(薬代、診察費)の援助

A持続的収入を得るための資本(ブタ、アヒル等の軽家畜)援助

B既に底をついた食糧の援助

C担保に取られた土地の買い戻し

D婦人が望んだ井戸の建設

E現金

 

最後の「現金」は、「持続性に欠け、効果的な利用が期待できない」(失礼だが、正直言って「教育レベルの低さ」もあって、瞬く間に使ってしまうような危惧もあった。それに、金はなんでも購入でき、使うのは容易だが、その価値を増やすことは難しい)、と考えパス。

 

医療費、薬代は確かに最優先項目だが、「医者のくれる薬は高いけど効かない」、という彼女が、日々事欠く食糧よりもその優先度を高いものと認識して、継続的に服用あるいは通院するかは疑問。(明日、現場を離れ一時帰国する我々がフォローする事もできず、医者に依頼することも困難)。したがって、これもパス。

 

「土地の買い戻し」は次期作(収穫は早くて10ヶ月後)まで日が長く、短期的効果が期待できない。買い戻してもすぐにまた借金のカタに取られる可能性大。よって、パス。

 

井戸は建設費が高い(きちんとしたものは1,000ドル以上)のと、健康維持のためのインパクトは大きいがすぐに「家族の腹はふくれない」ので結局見送り。

 

最終的に、我々が戻ってくるまでの最大2ヶ月間の「緊急援助」として、9人家族の2ヶ月分のコメ(精米200kg)と、「働く意欲と、目的意識を得るための子ブタおよびその当座の飼料(ぬか)150kg」を送ることとした。

 

はたして、農産物加工・流通の専門家の森さん、「何かの縁」の松浦さんが、カウンターパート2名を連れて市場に行き、コメ、ぬか、子ブタ3頭を購入した。総額はなんと56ドル。9ドルのお釣りがきた。それもそのはず、コメはキロ700リエル(約20円)、ブタ一頭(生後40日)15,000リエル(約500円)なのだ。購入後、「3匹の子ブタ」はひと袋に押し込まれ、コメとともにランクルで未亡人の家に到着。「緊急援助隊」は未亡人にそれらの物資を手渡した。

 

350キロのコメとぬか。家族と手伝ってくれた村人

袋詰めにされて悪路を揺られた子ブタはぐったり

感動していたそうである。驚いていたそうである。手を合わせて拝むように、何度も礼を言っていたそうである。村人が、350キロのコメとぬかを道路から彼女の家まで運んだそうである。病気がちの娘婿は、喜々として子ブタに縄を掛け、柱につないだそうである。

 

 

私たちは「プロのエンジニア、コンサルタント」であって、それ以外の何ものでもない。しかし、時には「自己満足な支援」もする、人間だから・・。

 

昨晩、「9人で50ドル也」の夕食をとりながら、「彼らも今日は思いっきりご飯食べてるでしょう。それだけでも良かったじゃないですか・・」と口々に話した。

 

今度帰ってくるときに、家族も子ブタも元気でいてくれることを願うばかりである。

2001年3月17日

 

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