ただいま出張中 


31.幸運のお守り

 

ある日、スタッフが買ってきたブータン唯一の新聞・クエンセル紙(週刊誌)に、ある本の紹介記事を見つけた。「The Talisman of Good Fortune and other stories from rural Bhutan」という、ブータンの民話を9編集めた本である。1969年に、ルンチ県クルテ郡ゲンパカップ村に生まれたリンジン・リンジン氏が書いた本である。彼はゲンパカップ村で初めて学校に通い西洋式の教育を受けた若者の一人であり、1997年にフィリピンの中央ルソン大学で畜産学を修め、現在オーストラリアのメルボルン大学の修士課程で学んでいる。この本は彼が2001年の大学の冬休みの間に、幼いころGomchenと言われる僧侶学校で学んだ民話などをまとめたものである。

 

ペーパーバック、156ページの本。ティンプーのクルテ・ハンディクラフトまたはブムタンのブムタン・ハンディクラフトで販売している。

私は、調査の対象地域であるルンチ県の農村社会にことさら興味があった。開発計画を立てる上で、そこに住む人々の暮らしの根っこにある物事の考え方、信念を知ることは非常に重要なことでもある。そして、そういった農村社会の背景を少しでも知りたいと、前回の調査期間中に、ローカル・スタッフのラジェシュ氏に、ルンチとモンガルで農村社会実態に関する聞き取り調査をしてもらったのである。そして、その報告書のなかにも、「Poison Giver」(毒もり人)の言い伝えが書かれていた。今回、クエンセルの記事には、リンジン・リンジン氏が書かれた民話の中に、彼の村に言い伝えられた「毒もり人」の話があることも書かれており、私はティンプーに出張中の団員に依頼し、2冊を入手した。

そして今日、朝から最初の「幸運のお守り」を読み、そして3分の1ほどを和訳した。もし興味のある人は、下記のURLに少しずつ私の稚拙な和訳を書き足していくので読んでいただければと思う。ただし、リンジン・リンジン氏にはまだ許可を得ていず、これはあくまでも私の個人的な興味を目的としているものだということをご理解いただきたい。全訳を完了した際には、著者に進呈するとともに、日本の子供達のために訳本の出版でも考えようか・・・。

「幸運のお守り」(前編)(中編)(後編 )

 

 

2002年11月3日

 

戻る